ヨルシカ「猫と月のダンス」感想

一つずつ丁寧に組み上げられていく物語は濃密で圧倒された。劇中でも印象深いセリフがいくつもああった

「面白みが無い絵に価値がないなんて言ってないわよ」と登場人物の女性が言ったシーンは強く印象に残っている。ニュアンスとしては、創造されたものは面白みの有無で価値が変わらない、という意味だと解釈している。

これはn-bunaさんが音楽に対してよく言う価値観と同じように感じた。今回は音楽ではなく絵画に置き換えて表現しているのかなと。すごくn-bunaさんらしい考え方と表現方法で、興奮した。

(ちなみにアリーナ席で後方だったので、ステージを見るためずっと姿勢を伸ばしてほとんど動けなかったが、本当にきつかった)

楽曲では、Suisさんの声の表現力の自由さが際立っていて素晴らしかった。同じ人の声とは思えないほど幅広く、聴いていると幸福感に満ち溢れる。脳が痺れるくらい気持ちいい感覚を味わった。次は前方やスタンド席で観たいと思った。

「又三郎」のギターアレンジシーンは思わず笑みがこぼれるし、「451」でn-bunaさんが歌唱した場面は本当にかっこよかった。スモーキーで攻撃的な歌い方が合っていた。

メインボーカルが交代したり、朗読劇によるストーリー展開、生歌唱、照明や音響での演出、作り込まれた映像も見られ、まさにエンターテイメントの詰め合わせのようで痺れた。

Suisさんとn-bunaさんが前に出過ぎず、顔出しやMCパートがないからこそ成立する表現や演出なのだと感じる。情報が少ないからこそ、創造物の純度が高く伝わってくるのだろう。(劇中で「表現、書くことを出力する」という表現が印象的だった)

総じて、最高の体験だった。

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